
Naoto
漫画『デビルマン』レビュー 永井豪/Go Nagai
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There are English translations of the underlined words below.
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みなさんこんにちは Naotoです。
今回は僕が最近読んだ名作と言われているマンガを紹介したいと思います。
今回は漫画を見せられないんですが、みなさんも下のリンク先で見ることができますのでぜひ見てみてください。
今回紹介する漫画は永井豪さんの「デビルマン」です。
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まずはウィキペディアに頼りながら作者と作品紹介をしたいと思います。
「デビルマン」の作者の永井豪さんは少年漫画の世界に性とバイオレンスの表現を取り入れ、後続の漫画家に大きな影響を与えたと言われています。
またギャグ漫画からシリアスな漫画までいろいろなジャンルを描き、多作な漫画家としても知られています。
今回紹介するデビルマンは永井さんの代表作として必ず名前が挙がる漫画で、悪魔の力と人間の心を持つデビルマンがデーモンと戦う話です。1972年から1973年にかけて連載していました。
漫画と同時にアニメも作られていたみたいなんですが、設定やストーリーがだいぶ違うみたいです。
また、2018年にネットフリックスで配信された「デビルマン クライベイビー」 も漫画デビルマンをもとに作られています。
僕が読んだ文庫版は全5巻で1979年から1981年に描かれた「新デビルマン」と1980年に描かれたアルファベットのデビルマンも本編の一部として収録されています。
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ではここからは簡単なあらすじと感想を話していきたいと思います。
物語は主人公 不動明(ふどうあきら)が居候先の娘の美樹(みき)と下校するシーンから始まるんですが、親友の飛鳥了(あすかりょう)が現れ、自殺した彼の父が残した遺産を受け取ってほしいと言われます。
そして了の家に行きその遺産を見せられ、デーモンから人類を守るためにデーモンと合体してデビルマンになってほしいと言われます。
1巻のあとがきに悪魔のイメージはギュスターヴ・ドレの挿絵によるダンテの「神曲 地獄篇」の中の「氷漬けの悪魔」から大きく影響を受けたと書いてあり、実際に「デビルマン」の中でも悪魔は氷漬けにされていて、了がダンテの神曲について語るシーンも出てきます。
1巻では不動明がデビルマンになるまでが描かれるんですが、不動がデビルマンになる前はラブコメやギャグ漫画っぽいシーンもあったので、一気にシリアスな展開になったときのギャップがすごかったです。
みなさんも下のリンク先でデビルマンの冒頭を見れますので、見てみてください。
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2巻ではいよいよデビルマンとデーモンが戦い始めます。
シレーヌという悪魔と戦う章では不動がそのデーモンに美しさを感じるシーンがとても印象的でした。
デーモンを野生動物のように描くことによって「理性がないことは必ずしも醜いことではない」というようなメッセージを表現しているように思いました。
また2巻では、人間だけ自然界のルールから外れているという生徒が出てきたり人間に天敵がいないせいで他の動物が滅びつつあることを不動が考えたりして、単純な勧善懲悪の話では出てこないような深いテーマにも切り込んでいます。
そして2巻の後半では不条理ホラー漫画のような展開になり、不動の身近にいる子どもたちが次々にデーモンとの戦いに巻き込まれていきます。
子供が見るようなアニメでは絶対放送できないような残虐な描写もあり、この世界の不条理さを容赦なく描いていると思いました。
ある悪魔は牛や豚などの生き物を食うのが悪いことじゃないなら悪魔が人間を食うのも悪いことじゃないと言い、人間が人間を殺すのは食うよりも悪いことだと言います。
人類が向き合わなければならない問題を鋭く指摘しているセリフだと思いました。
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3巻になると一転して1話完結スタイルになり、タイムスリップして過去のデーモンを探しにいく展開になります。
この部分はデビルマンの本編が終わった後の1979年から1981年の間に描かれた「新デビルマン」だと思います。
ジャンヌ・ダルクやマリーアントワネットなどの歴史的人物の他にサモトラケのニケを題材にした話もあります。
ジャンヌ・ダルクが出てくるエピソードでは戦争を終わらせようとしているジャンヌ・ダルクがいきなりデーモンに捕らえられ、戦争が科学を発展させ、戦争こそ人間に必要だというようなことを言われます。
デーモンのこの言葉ははっきり間違いとは言い切れないとても重い言葉だと思いました。
戦争を欲しているデーモンを軍事産業に置き換えて読むこともできるなと思いました。
またこの章では不動明と飛鳥了のボーイズラブ的な描写も少しあり、当時の少女漫画の影響を受けているのかなとも思いました。
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4巻からはデーモンが無差別に人間と合体を始め、誰が人間で誰がデーモンかわからない正に地獄のような状況になります。
デーモンの総攻撃を受けた人類は人間の中からデーモンを探し出す魔女狩りのようなことを始めます。
終盤に描かれるのはデーモンではなく人間の醜さです。
未知のものに対する恐怖はよくSFなどでテーマになりますが、この「デビルマン」でもその恐怖によって人間同士が争いを始め、破滅へと向かっていきます。
不動明が居候先の美樹を守りきれるかどうかも終盤の焦点の1つになってくるんですが、その結末はぜひ皆さんの目で確かめてください。
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「デビルマン」は後の多くの漫画家に影響を与えたと言われているんですが、ビジュアル面でもいくつかの漫画の元ネタになっているのかなとも思いました。
例えば不動明の髪が伸びていくような演出は「ハンターxハンター」のゴンを思い出しましたし、戦闘機のパイロットの体が塩の塊になるシーンはカネコアツシさんの「SOIL(ソイル)」を思い出しました。
また、エヴァンゲリオンの庵野秀明さんも「デビルマン」から影響を受けたと言っていて、確かにエヴァの劇場版のラストシーンは「デビルマン」から影響を受けているかもしれないと思いました。
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「デビルマン」はあまりにも救いがないという人がいるかもしれないですが、人間の本性やこの世界の不条理さを神話のように描いた素晴らしい作品だと思いました。
この作品を単なるホラー漫画と取るか、予言の書と取るか、当時の学生が変えられなかった社会の末路を描いた作品と取るか、人それぞれ感じ方が違うと思います。
この動画を見て興味を持った方や「デビルマン クライベイビー」を見て漫画も読んでみたいと思った方はぜひ読んでみてください。漫画でしか味わえない恐怖や興奮を体験できると思います。
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今年も僕の好きな漫画や衝撃を受けた漫画をどんどん紹介していきたいと思います。
この動画のスクリプトとその中の難しい日本語の英訳も下のリンク先で見ることができますのでぜひ見てみてください。
ではまた次回お会いしましょう。
じゃねぇ。
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[1]
名作(めいさく) masterpiece
リンク先(さき) linked page
[2]
頼る(たよる) rely on/depend on
作者(さくしゃ) author/writer/drawer
作品(さくひん) work
少年(しょうねん) boy/juvenile
性(せい) (one’s) sex/gender
バイオレンス violence
表現(ひょうげん) expression
取り入れる(とりいれる) incorporate/accept/adopt
後続(こうぞく)の following/succeeding
影響(えいきょう) influence/effect
与える(あたえる) give/present
シリアスな serious
描く(えがく) draw/paint/depict
多作(たさく)な prolific
代表作(だいひょうさく) representative work/one's masterpiece
挙がる(あがる) be listed/be mentioned
悪魔(あくま) devil/demon
デーモン demon
戦う(たたかう) fight/do battle
~にかけて through/from-till-
連載(れんさい)する serialize
設定(せってい) setting/background
大分(だいぶ) a lot/much
配信(はいしん)する stream/broadcast
~を基(もと)に be based on~
文庫(ぶんこ) mass-market paperback/pocket edition
版(ばん) version
~巻(かん) volume~
アルファベット alphabet
本編(ほんぺん) main story/original story
収録(しゅうろく)する include/print/record
[3]
あらすじ synopsis/plot/summary
感想(かんそう) thoughts/impression
物語(ものがたり) story
主人公(しゅじんこう) protagonist/main character
居候(いそうろう) a person who lives off someone else
~先(さき) the place where~
下校(げこう) coming home from school
親友(しんゆう) close friend/best friend
現れる(あらわれる) appear
自殺(じさつ) suicide
残す(のこす) leave/hand down
遺産(いさん) inheritance/legacy/heritage
受け取る(うけとる) receive/get/accept
合体(がったい)する become one/be[come] united
あとがき afterword
挿絵(さしえ) (book) illustration
~による so meone’s~/by~
神曲(しんきょく) Divina Commedia
地獄(じごく) hell
~篇(へん) chapter/volume/compilation
地獄篇 inferno
氷漬け(こおりづけ) putting down in ice
実際(じっさい)の[に] actual[ly]
語る(かたる) narrate/tell/talk
ラブコメ romantic comedy
っぽい(N3) -ish/-like
一気(いっき)に all at once/rapidly
展開(てんかい) development/progressing/scene
ギャップ gap
冒頭(ぼうとう) the beginning/the opening
[4]
いよいよ at last/finally
章(しょう) chapter/section/episode
印象的(いんしょうてき)な striking/impressive
野生(やせい) wild/growing wild
~によって(N3) by means of~/by~
理性(りせい) reason/reasoning/(good) sense
必ずしも(かならずしも)~ない not always~/not necessarily
醜い(みにくい) ugly
自然界(しぜんかい) nature/the natural world
外れる(はずれる) be disconnected/get out of place
天敵(てんてき) natural enemy
滅びる(ほろびる) perish/die (out)/become extinct/be destroyed
~つつある(N2) be doing/be in the process of doing
単純(たんじゅん)な simple
勧善懲悪(かんぜんちょうあく) rewarding good and punishing evil
切り込む(きりこむ) mention/cut one's way/cut into
後半(こうはん) latter half/second half
不条理(ふじょうり) absurdity/unreason
ホラー horror
身近(みじか) near to one(self)/close
次々(つぎつぎ)と[に] one after another
巻き込む(まきこむ) involve/tangle
放送(ほうそう) broadcast
残虐(ざんぎゃく)な cruel/brutal
描写(びょうしゃ) description/depiction/content
容赦(ようしゃ) forgiveness/mercy
容赦なく mercilessly/brutally
ある certain/one
食う(くう) eat
殺す(ころす) kill
人類(じんるい) mankind/humankind/the human race
向き合う(むきあう) face/confront
鋭い(するどい) sharp/pointed
指摘(してき)する point out
台詞(せりふ) quote/line
[5]
一転(いってん)する change completely
1話完結(いちわかんけつ) each episode stands alone/stand-alone
タイムスリップ time travel
過去(かこ) past
部分(ぶぶん) part/section
歴史的(れきしてき)な historical/historic
人物(じんぶつ) character/person
サモトラケのニケ Nike of Samothrace/Winged Victory
題材(だいざい) subject matter/theme
いきなり suddenly/abruptly
捕える(とらえる) catch/capture/seize
発展(はってん)する develop/grow/advance
~こそ(N3) the very~[emphasize]
はっきり(と) clearly/distinctly
言い切る(いいきる) declare/say for sure
欲する(ほっする) want/desire
軍事産業(ぐんじさんぎょう) defense contractor/armaments industry
置き換える(おきかえる) replace
ボーイズラブ BL/boys love
~的(てき) like~/kind of~
当時(とうじ) at the time/then
少女(しょうじょ) girl/young lady
[6]
無差別(むさべつ)な indiscriminate
正に(まさに) indeed/surely
状況(じょうきょう) situation/circumstances
総攻撃(そうこうげき) all-out attack/general attack
探し出す(さがしだす) find (out)
魔女狩り(まじょがり) witch hunting/witch-hunt
終盤(しゅうばん) final stage[phase]/the end
未知(みち)の strange/unknown
~に対する(たいする) toward~/on~
恐怖(きょうふ) fear/dread/horror
SF(エスエフ) science fiction
テーマ theme
~同士(どうし) among~/between~
争い(あらそい) conflict/fighting
破滅(はめつ) ruin/destruction
~切る(きる)(N3) do something completely to the end
焦点(しょうてん) focal point/focus
結末(けつまつ) end/ending/conclusion
確かめる(たしかめる) check/make sure/ascertain
[7]
後(のち)の future~/later~
ビジュアル visual
面(めん) aspect/side/field
元ネタ(もとねた) source (of)/inspiration (for)
伸びる(のびる) grow/get long/extend
演出(えんしゅつ) production/direction
戦闘機(せんとうき) fighter (aircraft)/combat plane
塊(かたまり) lump
劇場版(げきじょうばん) movie version (based on TV series, anime, etc.)
[8]
あまりにも too much/excessively
救い(すくい) help/salvation
救いがない awful/helpless
本性(ほんしょう) true character/real nature
神話(しんわ) myth
単なる(たんなる) mere/simple
~と取る(とる) take it as~/take it ~
予言(よげん) prophecy/prediction
書(しょ) book/handwriting/document
末路(まつろ) last days/the end
それぞれ each/respectively
動画(どうが) video
方(かた) person[polite form]
味わう(あじわう) taste/enjoy
興奮(こうふん) excitement
体験(たいけん) experience
[9]
衝撃(しょうげき) shock/impact
どんどん one after another
スクリプト transcript/script
英訳(えいやく) English translation