
Naoto
Keep Your Hands Off Eizouken! 映像研には手を出すな!Manga review x Learn Japanese
更新日:2021年5月26日
Trial reading 映像研には手を出すな! (click 試し読みする to read)
There are English translations of the underlined words below.
[1]
みなさんこんにちはNaoto(尚人)です。
今回は最近アニメ化して今話題の「映像研には手を出すな !」のレビューをしたいと思います。実は僕は最近知って、マンガを読み始めました。
みなさんも下のリンク先でこのマンガの試し読みと作者のインタビュー映像を見ることができますのでぜひ興味がある方は見てみてください。
[2]
「映像研には手を出すな !」は大童澄瞳(おおわらすみと)さんが描いている漫画で、彼の連載1作目の漫画です。
下のリンク先で見れるインタビューでは大童さん本人がこの漫画のジャンルは「オタク」と言っていました。
また、別のインタビュー記事によると大童さんは高校時代に色々なジャンルの映画を作っていたみたいで、その経験も本作に活かされていると思います。
[3]
「映像研には手を出すな !」のストーリーをざっくり説明すると、「アニメは設定が命だ」と考えている浅草みどり、金儲けが大好きな金森さやか、読者モデルで、アニメーター志望の水崎ツバメ。
この3人の女子高生が映像研究同好会(映像研) を作って、アニメを作っていく話です。
この設定だけでもおもしろそうなんですが、もちろんそれだけでここまで人気が出たわけではないと思います
なので、ここからは僕が考える「映像研には手を出すな !」 のすごいところや特徴を話したいと思います。
[4]
まず、最初の印象はぱっと見てすごいアニメっぽい絵だなぁと思いました。
アニメがオリジナルなのかなと思うくらいアニ メっぽいと思いました。
個人的には、浅草さんがジブリのポニョっぽくて一番好きです。
[5]
そして技法的な面で様々な試みをしていると思いました。
その中でも一番特徴的なのが、吹き出しに角度がついているところです。
専門用語を使うと「パースがかかっている」と言うそうです。
「吹き出しのオブジェクト化」と言い換えてもいいかもしれません。
パースをつけることによって、もちろんそのコマ全体の空間を認識しやすくなるという効果があるかと思いますが、一方で空間は面の集合に過ぎないということを意識させてしまい、3Dソフトのような空間をイメージしてしまう人もいるかもしれないです。
まあそのことは別に悪いことではないと思いますが、「本当の意味での没入感が削がれてしまうのでは」と思ってしまいました。
[6]
あと、吹き出しをオブジェクトとして認識させてしまうことによって、吹き出し本来の性能「音声」が読者の中で聞こえづらくなってしまうのでは という懸念があります。
まあでもこの2つは僕が無理やりひねり出したデメリット(demerit)で、本当にそう感じる人はほとんどいないと思います。というか、いないと思います。
大童さんのクリエイティビティに嫉妬してデメリットを言いたかっただけです。
すみません。
[7]
もちろん吹き出しをオブジェクト化することによって、他にも様々な表現をしています。
キャラクターや物の後ろに吹き出しを置いたり、吹き出しや文字そのものをぼやけさせたりしています。
奥と手前でそれぞれ2人のキャラクターが会話をしている時に、片方のキャラクターをぼやけさせることによりピントを表現する手法は今ではときどき見る手法なんですが、吹き出しやその中の文字そのものをぼやけさせている漫画は初めて見ました。
人間は意識しないと言葉を言葉として聞こうとしないので、吹き出しをぼやけさせることによって、音すらもどこにフォーカス(focus)しているかを漫画で表現しています。
この手法は画期的でかつよりリアルな世界を表現することにも成功していると思います。
[8]
一つ一つのエピソードの構成もすごい面白くて、ほとんどのエピソードでキャラクター達の妄想シーン(scene)、空想シーンが出てきます。
いきなりキャラクター全員が空想の世界にワープしたり、グラデーションのように徐々に空想の世界に入っていったりします。
そこに何の説明もないところも素晴らしいですね。
こういうシーンでは、去年読んだ松本大洋(まつもとたいよう)の「Sunny」の子供たちの空想シーンを思い出しました。
[9]
そして 見開きで空想のガジェットや世界観を細かく説明するページも大好きです。
この演出はオタク心をくすぐられますね。
そのページを見て、単純に知識量がハンパじゃないと思いました。
もちろんリアリティを追及していく過程でいろいろな知識を得ていくんだと思うんですけど、このくらいのリアリティを追求する姿勢がすべてのアニメーターやクリエイターに必要かもしれないです。
巨大ロボットが立ち上がるときのG(ジー)の強さを表現したコマは、まさに空想の中のリアリティーだと思いました。
[10]
もちろんアニメーターとしてのリアリティ、リアルな現場もほぼ全編にわたって描かれています。
作業効率や妥協点、フィクション(fiction)とリアリティのバランスなど、おそらく大童さん本人も経験したに違いないあらゆる葛藤が描かれています。
なので、職業漫画としてもすごいクオリティが高いと思いました。
[11]
ですが、ひとつだけ気になったところがあります。
1巻の153ページの、おそらくハーフのさかき・ソワンデさんの肌の色が塗られていないコマです。これはあえてそうしたのかどうなのかすごい気になります。
155ページでは顔と手にトーンが貼られているのに、足には貼られていないです。
すごいこだわりがある大童さんなので、単純なミスだったらもったいないなぁと思いました。
[12]
ですが、ひさしぶりにおもしろい漫画に出会えたのは間違いないです。
これからも大童さんのクリエイティビティや知識量に嫉妬をしながら読み続けていこうと思います。
この動画のスクリプトと単語リストも下のリンク先で見ることができますので、ぜひ見てみてください。
ではまた次回お会いしましょう。
じゃ〜ねぇ〜。
I teach Japanese there, too!⬆︎
[1]
今回(こんかい) this time
~化(か)する make things into~
話題(わだい)の hot (topic)
実(じつ)は actually
リンク先(さき) linked page
試し読み(ためしよみ) trial reading
作者(さくしゃ) author/writer
映像(えいぞう) image/footage/video
[2]
手を出す get involved in/touch
連載(れんさい) serial publication
~作(さく) counter for works
~目(め) [ordinal number suffix]
本人(ほんにん) himself/herself
記事(きじ) article/news item
時代(じだい) days/age/era
本作(ほんさく) this work
活かす(いかす) make use of/utilize
[3]
ざっくり roughly/briefly
設定(せってい) setting/background
命(いのち) most important thing/life
金儲け(かねもうけ) making money
読者(どくしゃ)モデル reader model
~志望(しぼう) would-be~/aspiring~
同好会(どうこうかい) club/association
[4]
ぱっと見て at a[first] glance
っぽい -ish/-like
オリジナル the original
個人的(こじんてき)には personally
[5]
技法(ぎほう) technique
面(めん) aspect/side/field
試み(こころみ) trial/test/experiment
特徴的(とくちょうてき)な characteristic/distinctive
吹き出し(ふきだし) speech bubbles
角度(かくど) angle
専門用語(せんもんようご) technical term
パース perspective (drawing)
オブジェクト object
言い換える(いいかえる) say in other words
コマ panel/frame [in manga]
空間(くうかん) space/room
認識(にんしき)する recognize/understand
一方(いっぽう)で on the other hand
面(めん) surface/plane
集合(しゅうごう) set/assembly
~にすぎない(N2) no more than~/just
意識(いしき)する be conscious/be aware
ソフト software
没入感(ぼつにゅうかん) sense of immersion
削ぐ(そぐ) reduce/weaken
[6]
本来(ほんらい) original/primary
性能(せいのう) ability/performance
音声(おんせい) sound/audio
読者(どくしゃ) reader
~づらい difficult to~
~のではないだろうか(N2) I think it might be the case that~
懸念(けねん) worry/concern
無理やり(むりやり) forcibly
ひねり出す think up/word out
というか I mean~/in other words
嫉妬(しっと)する be jealous
[7]
表現(ひょうげん) expression
そのもの (in) itself
ぼやける become blurred[dim]
奥(おく) in the back/behind
手前(てまえ) in front of/ons’s side
片方(かたほう) one side
ピント the focus point
手法(しゅほう) technique/approach
~すら(N1) even
画期的(かっきてき)な epoch-making
且つ(かつ) besides/moreover/and
成功(せいこう)する succeed
[8]
構成(こうせい) construction/composition
妄想(もうそう) delusion
空想(くうそう) imagination
いきなり suddenly/abruptly
ワープ warp
グラデーション gradation
徐々(じょじょ)に gradually/slowly
[9]
見開き(みひらき) spread/facing pages
ガジェット gadget
世界観(せかいかん) world/worldview
演出(えんしゅつ) production/direction
くすぐる appeal to/tickle
ハンパじゃない awesome/incredible
追求(ついきゅう) pursue/seek
過程(かてい) process
得る(える) get/acquire/obtain
姿勢(しせい) attitude/stance
立ち上がる(たちあがる) stand up/get oneself upright
G(ジー) gravitational acceleration
正に(まさに) indeed/surely
[10]
現場(げんば) site/scene/spot
全編(ぜんぺん) the whole book[story]
~にわたって(N2) throughout~
描く(えがく) draw/paint/depict
作業効率(さぎょうこうりつ) work efficiency
妥協点(だきょうてん) point of compromise
おそらく probably/perhaps
あらゆる all/every
葛藤(かっとう) (psychological) conflict
[11]
~が気になる curious about~/~bothers me
~巻(かん) volume~
ハーフ half Japanese half ~
肌(はだ) skin
塗る(ぬる) paint
あえて intentionally
トーン screen-tone
こだわり obsession/professionalism
もったいない avoidable (mistake)/wasteful
[12]
ひさしぶりに after a long time/for the first time in a while
スクリプト script
単語(たんご)リスト word list
次回(じかい) next time
お会い(おあい)する see/meet(polite form)
Flashcard : Quizlet
https://quizlet.com/_87ixt5?x=1qqt&i=2azdxi